Altersist

絶版となっていたvoid 2nd album “Altersist“のダウンロード頒布を、APOLLO 第2回の開始に併せて開始致しました。
→BOOTHでダウンロード購入
→APOLLO テ-129
長らく入手困難となっておりましたが、再プレスするのは色んな事情で厳しかったためこのような形で頒布させていただきます。
売り切れで入手できなかった方はもちろん、最近知って頂いた方にもこの機会に聴いて欲しい作品ですので、まずはご試聴を。

ということで以下には当時を思い出しながら、喪われたコンテンツであるセルフライナーノーツ(製作者本人による作品解説)を記します。
昔はソロアルバム出したら当たり前のように皆書いてたのに、Twitterの発達とともにこういう長文を書く人は減りましたね・・・。



01. Arctic Embrace
Dutch Trance, Uplifting Trance / Instrumental / BPM:142
Inspired, Respect, Reference : SnowMoon – Garden, StripE – Ecstacy of Asia

本アルバムはJunkのeuphoriseとV.S.するというのが最も根底のコンセプトであったため、色々と対になる表現や併せた部分が多々あります。
euphoriseの1曲目がBOF 2011出展の“Ocean Memory”というとても”夏”をイメージさせる爽やかな楽曲で行くということで、アルバム制作の最後のほうに新曲としてこの楽曲を制作しました。
“冬”をイメージさせるピアノを用いたダッチトランスです。

02. Act Beloved / feat. Salita
House, Piano House / Verbal / BPM:131
Inspired, Respect, Reference : A-bee – Eden feat.Kaori (Sea Of Clouds Remix), DAISHI DANCE – MOONRISE….MOONSET

自分の楽曲で唯一J-POP御用達単語”love”が曲名に入っている、BOF 2011、チームNEWラブプラス、姉ヶ崎寧々名義出展楽曲。SalitaさんをVocalに招いて制作したピアノ、ストリングス中心の歌ものハウスです。
リズムトラック、シンセベースと効果音以外はほとんど生系音源で構成されている、当時も今も俺としては有り得ないような楽曲です。
廻りからの評判もかなり高い楽曲で、今聴くとメロディ、コード進行凝ってんなあ、もうこんなの作れねえなあという気持ちになります。つらい。
因みに当時はNEWラブプラスに加えうたのプリンスさまっ♪Repeatをプレイしていました。その為、歌詞の内容に関してはお察しください。

03. Legend / feat. コツキミヤ
J-Pop / Verbal / BPM:110-165
Inspired, Respect, Reference : 四ノ宮那月(CV.谷山紀章) – サザンクロス恋歌

Elements Garden的なシンフォニック要素を取り入れた打ち込みポップス作りてえなあという感じからコツキミヤさんに提供、制作した楽曲です。
それなりに頑張ってギターの音を作った記憶があります、でも打ち込みで生は超えられない・・・。ヴァイオリンもまだまだ幼い感じがあるところはありますが、今聴くとああ、やりたいことやってんなあ感が。
この曲といえば、ブレイクでBPMが110になって懐かしい感じのワブルベースが入るところはとても時代を感じますねえ。。。
当時は突如現れたDubstep/Wobble Bassムーブメントを如何にして自分の守備範囲のジャンル、ポップス文化に取り入れるか、色んな人が試行錯誤していた面白い時代でした。

04. Invocator
Uplifting Trance, Euphoric Trance / Instrumental / BPM:136
Inspired, Respect, Reference : Corderoy – Rock Guitar (Arctic Moon Remix)

fmy.に、「ちょっと今から新曲作ってくんない?2日で。」とM3締め切り直前に言われて制作した楽曲。
結局ガッツリ2日間作業したので突貫工事の曲ではないのですが、締め切りが迫ってたので取り敢えず素材フォルダを漁って、「このギターソロの音源カッコええな!これで1曲作ったろ。」というのが発端です。素材でごめん。
とは言えあんまり曲の中心たるパーツがサンプリング素材ってのは如何にも俺のプライドに障るので、ブレイク明けをメチャクチャ凝ったりしたら更に作りこみたくなりこんな感じに仕上がりました。

05. When the rain
Morning, Full On / Verbal…? / BPM:138
Inspired, Respect, Reference : Tri-Force – Realize, Astrix – Monster (Remix)

曲名は某ゲームの「降り止まない雨は無い。そしてその後には…」って台詞が元ネタです。
2011年はひたすらトランスを作った年でもあり、俺の中のトランスがネタ切れを起こした年でもあります。なんかいい曲ねえかなあ、新しい方向性、ない??という悩みも多かった。
そんな中当時聴いていたOtographic Musicから流れてきた楽曲に衝撃を受けたのが始まりです。
迫り来るAD:TRANCEの締め切りにも関わらず、Omnisphereで泣きメロを鳴らし一気に叙情的になってしまう都合の良さで制作は順調に進みましたが、
「何かもう1つ、差別化できる要素がほしいな。」と感じ、歌メロと歌詞を作成。しかし締め切り3日前。ヴォーカリストに依頼するわけにも行かず・・・。徐ろにCM5を取り出し・・・。
あとはご察しください。

06. Such a cloudy / feat. Salita
Progressive Trance, Electro House / Verbal / BPM:137
Inspired, Respect, Reference : Andy Moor – Fight The Fire feat. Sue McLaren

ソロアルバムを制作するにあたって、「英詞Vocalのトランスは毎作絶対1曲は入れたい」と強く思っているので、インスト限定アルバムでもない限りこういう楽曲をかくようにしています。
楽曲の方は当時はやってたストップ&ゴー(4拍目にベースが入らないドロップを持つ)のエレクトロ風味のトランスで、歌メロは憂鬱な雰囲気を徹底しつつも繰り返しを多くしてキャッチーさを持たせてます。
それでも雰囲気、メロディ、歌詞全てが陰鬱すぎて人気はないようですが笑
歌詞に関しては完全にセラフィックブルーです。日本語に訳すのも相当アレなんで勘弁して下さい。翼が錆びて希望が喪われただのそんな感じです。救いようがないな?
一応euphoriseのFly Againと対になってます。空に関する題名を持つヴォーカルトランスとして。こっちは希望ありすぎる。

07. Nightbreak
Piano House, Alternative Rock / Instrumental / BPM:128
Inspired, Respect, Reference : Weekenders – rest (ameagaremix), 凛として時雨 – シャンディ

落ち着いたインストのピアノハウスを、ということで製作開始したのですが、どうしてもハウスと言うジャンルは歌ものがメインであり、シンプルになりがちなピアノハウスでインストだと尚更物足りなさを感じることが多くなります。
結果、当時聴いていた凛として時雨のメチャクチャ太いエレキベース(ベースアンプじゃなくてギターアンプで音作りをすると、帯域全体を埋め尽くすこういう音になります)に惚れオルタナティブロックの要素を取り入れたピアノハウスという稀有な構成の楽曲になりました。

08. メビウス / feat. コツキミヤ
Progressive Breaks / Verbal / BPM:134
Inspired, Respect, Reference : Alex Gold – You’re The One feat. Gleeve Dobbin

今まで書いてきた歌ものの大半が、音数が多くヴォーカルの隙間をぬって大量のフレーズや音をばら撒くみたいなシングル曲的な攻撃的な物が多かったので、アルバム曲っぽい歌ものを制作してみました。
前作”Disclude“は落ち着いた曲が殆ど無く、聴いてて疲れると言われたのでこういう曲もアルバムには必要だと思いました。
間奏のPluckのメロディとか気に入ってます。この音は今後もよく使ったな・・・。
久々に聴いてみてもやっぱりプログレッシヴブレイクスいいですよねプログレッシヴブレイクス。疾走感も残しながら癒やしの要素が色濃く出るこの感じ。だから皆もっと書いて。

09. realized seraph
Symphonic Trance, Filmscore / Instrumental / BPM:134
Inspired, Respect, Reference : なし

9曲目にして本アルバム初クワイアになります。
Ordealの頃はまだクワイアの扱いに慣れていませんでしたが、だいぶこの曲は慣れてきた頃じゃないでしょうか。
大編成オーケストラ+クワイアの中にソロっぽいヴァイオリンを入れるの、物理的に間違っているような気がしますが、曲にすると「ああ、ボスだなあ、これボスだよお」感が出てどうしても使ってしまいます。
これがWorld VertexやCrisscrosserに繋がっていくわけです。

10. vacant heart / feat. コツキミヤ
Energetic Trance, J-POP / Verbal / BPM:140
Inspired, Respect, Reference : 青葉りんご – insanity, 川田まみ – IMMORAL

前作4曲目Pledgeに続くエ/ロゲ主題歌風デジタルポップス枠です。前作はI’veの影響が色濃い感じでしたが今回はサイケ要素はなくし、ハードトランスの要素を取り入れより現代的になりました。
正直トランスやクワイアなんかよりこういう曲のほうが好みド直球だし作ってて楽しい。
敢えて言葉で説明したい所があれば、J-POP王道的なABサビABサビ間奏サビではなく、頭サビ→1A→1B→2A→2B→サビ→間奏→サビといったサビを溜める感じの展開にしている点でしょうか。
90秒尺や2分尺ではこういうことはできませんからね。こういうところでやっておかないと。

11. One faith
Progressive Breaks, Japanese Traditional / Instrumental / BPM:136
Inspired, Respect, Reference : Hybrid – Just for Today

和風プログレッシヴブレイクスという需要不明な楽曲です。本アルバムで一番最初に制作した楽曲です。
「一」と「誠」、つまり薄桜鬼ですね。はい。一期一振ではないよ。当時2011年です。
5重くらいブレイクビーツを重ねてるのでなかなか激し目で音数多めです。重ねればいいってもんじゃないけど、歌がない分、そのへんも分厚く取れるということで。
こういうジャンルはシンセサウンドの中でも、細い音を大切に扱えるので作っていて優しい気持ちになれます。ハードで激しい曲ほど、キャッチーさを維持するための音の選択肢は限られたりしますからね。

12. Summer glow / feat. Salita
Ballade, Chillout, J-POP / Verbal / BPM:100
Inspired, Respect, Reference : onoken feat. 茶太 – chronicle, X JAPAN – CRUCIFY MY LOVE

Salitaさんにバラードを歌いたいということで制作した楽曲。なんと、ここにきてバラード。
メロスピ系のバンドが激しい曲の最中アルバムに1~2曲バラードを入れている事がありますが、私もその仲間入りを果たしたのかもしれません。
しかし、シンプルなジャンルであればあるほどギミックや音で誤魔化せず、音楽的教養を求められるのでバラードというジャンルは可能な限り作りたくないのです。
自分の未熟さを再確認するハメになるだけですから・・・。しかし、男に二言はないというわけで全力を尽くして制作。
命を削るような厳しい制作でしたが、Salitaさんのサポートもあって印象的なトラックに仕上がったと思います。

13. Altersist / feat. えば
Uplifting Trance, Symphonic Trance, Alternative Rock, Complextro / Instrumental / BPM:138
Inspired, Respect, Reference : TRakker – Separate Wings, 凛として時雨 – illusion is mine

BOF 2011へ、己の技術の集大成として制作した楽曲。
テクニック的にこれ以上の曲は作れないし、作る気もない。

14. the war is over.
Filmscore, Epic / Instrumental / BPM:162
Inspired, Respect, Reference : Clint Mansell – Requiem for a Tower, Immediate Music – The Reluctant Warrior

euphoriseのシークレットトラックにTrue Endという楽曲が入っているのですが、その対抗です。
全曲仕上がって、さあマスタリングに取り掛かろう!としたときにやっぱエンディング欲しいよなあと思って、いきなり作り始めました。
こちらもJunkくんのエンディングに負けじと、壮大なアルバム1枚の終わりに相応しい心温まる楽曲です。たぶんね。

Design : HARDLOVE
アルバムのアートワークはHARDLOVE氏によって力強くデザインして頂きました。
何よりBMSを遊びはじめた頃からHARDLOVE氏の作品に触れていた身としては感動極まるものがありました。
本当に有難うございました。